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リハビリ通信 つむぎ

[Vol.35]インタビュー企画|離島のリハビリ〈前編〉

平成医療福祉グループでは、“住みたい場所で、いつまでも元気に暮らせるように”という想いで、2022年度から伊豆諸島にある利島・御蔵島・青ヶ島の3つの離島に理学療法士が出向し、リハビリテーションの知識・技術・経験をもって支援を始めました。

今回は、2023年6月から利島村に出向している平成横浜病院の理学療法士 萩原 真梨奈さんにインタビューしました。
前編は、利島村で暮らす人の生活についてのお話しです。


Profile | 萩原 真梨奈
理学療法士5年目。平成横浜病院では回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟を担当。特に排尿ケアや認知症予防に力を入れている。風景を撮影することが最近のブーム。2023年6月1日から利島村に出向中。

「お互いさま」の気持ちで、支えあって生きていく


––– まずは利島に行こうと思ったきっかけを教えてください。

最初は離島でのリハビリ募集の際に利島の様子を聞いて、単純に「楽しそうだな」、「いい島だな」と思ったのがきっかけです。
その後、note 「離島のリハビリ奮闘記」で前任の塚本さん(世田谷記念病院)の記事を読んで、やはり行ってみたいなと。病院の外に出て実際に生活する人を見ながら仕事ができるのは、理学療法士として成長できる良い機会になると思いました。

––– 自身の成長の機会としてだけでなく、利島自体にも魅力を感じたのですね。
そうですね、本当に自然豊かなところで。利島は標高約500mの宮塚山を頂とする円錐形の島で、海と山に囲まれています。空も海も山もとっても綺麗なんです。海ではイセエビやサザエ、カンパチ、イカなどが獲れたり、山には椿や、光るキノコが生えたり。先日海に入ったのですが、間近にイルカがいてびっくりしました。調子がいいとイルカの方から近づいて来るみたいです。
ちなみに、本土と島の移動は大型船、フェリー、ヘリを利用します。フェリーなどは横浜や東京、熱海などから出ていますが、毎日出ているわけではなく、天候によっても左右されます。


–––
利島で暮らす方はどのような生活をされていますか。

人口は約300人で、多くが30〜40代です。仕事を掛け持ちしている方も多いのですが、役場で働く方や農林業、建設業、教員の仕事をしている方が多いです。最近は働く世代の移住により子供の数が増えており、現在では60人程います。ただ、島には保育園と小中学校しかないので、高校進学を機に島を出ることが多いようです。高齢者は約80人ほどで高齢化率は20%くらいです。
全周約8kmの都内でも一番小さい島ですが、
島の80%が椿に覆われているため集落はさらに小さく、端から端まで歩いても15分ぐらいです。ただ、島内は坂が多いので、車での移動がメインです。道も狭いところが多く、結構車が傷ついたりするのですが、島民の方達はあまり気にしない、おおらかな感じがします。坂がきつくて登れないのと、海が近くて錆びやすいので、自転車使ってる人はほどんどいないですね。

––– 坂が多い中で生活するのは大変そうですね。 食料品や日用品が買える場所は行きやすい場所にありますか。
島での買い物は、農協や商店でします。宅配サービスなどもないので、基本的には車を利用して自分で買いに行ってます。家からなかなか出られない方には、ご近所の方が食料品などを運んでくれたりすることもあるようです。あとは必要に応じてネット注文もしますが、海を渡るので届くまでに時間がかかります。

–––  休日はどのように過ごされているのでしょうか。
釣りやダイビングを楽しむ方は多いですね。いわゆる遊び場としては、2レーンのみのボウリング場と、飲食物持ち込みのカラオケくらいなので。
ただ、クラブ活動が盛んで、和太鼓や野球、テニス、卓球、バトミントン、書道などたくさんあります。若い方から高齢の方まで、毎週何曜日の何時にという感じで集まってやっています。「参加したいな」と思って、ふらっと行ってもすごく優しく受け入れてくれます。
あとは、イベントも結構あります。島民総出でやる草刈り「切っぱらい」や夏祭り、運動会、ボウリング大会、ロードレース、マラソン大会などが開催されています。大人達は飲み会も楽しんでますね。

––– クラブ活動やイベントなどが充実していて、住民同士のつながりが強いのですね。
そうですね。子どもから高齢の方まで、交流の機会が多いため距離が近く、“みんな知り合い”という、小さな島だからこその良さを感じます。
島外から来た私にも、みなさん本当に気さくに話しかけてくださり、「島での生活は大丈夫?」など声をかけてくれたり、島のことを色々教えてくれたりします。また、利島には、「ボイ」や「トリゴ」、「ユイ」といった住民同士がお互いに助け合っていく習わしがあるようです。

––– 小さな島ならではの習慣ですね。他にも島ならではの文化や考え方はあるのでしょうか。
利島の高齢者は、体が動く限り椿産業に関わり続けています。“自立した生活者”として、高齢者にも社会的役割が与えられており、島の人から必要とされている。“住民全員が「支え」「支えられ」の「お互いさま」の関係である”という利島の住民の考え方があるかもしれません。


後編は、離島の医療・介護・福祉についてのお話しです。

*島に古くからある守(もり)の習慣。子どもが生まれた時に、近所の年上の子どもが面倒を見る。ボイになった家同士は密な関係で、子や親が生涯つながっていく。

 

▼ 離島でのリハビリの様子をnoteで公開中

▼ 前任の塚本さんのレポート動画(世田谷記念病院)

〈関連リンク〉
利島村 https://www.toshimamura.org/
利島椿油https://ja-toshima.jp/

〈記事内写真提供〉利島村社会福祉協議会 / 萩原 真梨奈

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