こんにちは、作業療法士の松倉です。
今回は入院中の「離床活動」についてお話致します。
「離床」とは、寝ている状態から起き上がって床を離れることです。
入院中患者さんがリハビリ以外の時間をベッドで横になって過ごしている印象はありませんか?
入院中は離床する目的がないため「ベッドで寝て過ごしていたい。」「退屈だ…」と感じている患者さんは少なくありません。しかし、長期的に離床が出来ていない状況は、心身機能の低下につながり、在宅復帰へ大きな影響を及ぼすと言われています。
入院中の早期離床は廃用症候群(※)を予防し、患者さまが退院後、ご自宅でその人らしい生活を送ることに繋がります。
そこで私たちは「目的を持った離床」のために、2つの事を始めました。
1つ目は集団リハビリです。
各病棟で最大4人の患者さんを招集し、毎日1時間程度実施しています。懐かしのラジオ体操は自然と音楽に合わせて身体が動きます。その他にも体を動かす様々なレクリエーションを取り入れています。患者さん同士の交流の場でもあり、それが入院中の楽しみとなり、離床の意欲に繋がっています。
2つ目はリハビリ助手による離床時の自主訓練の提供です。
1人1人に合わせた自主訓練を担当セラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士ら)が選定し、それをリハビリ助手がセラピストによるリハビリ以外の時間にも出来るよう促すというものです。
なかなか自分一人では自主訓練が進まない方でも、誰かと一緒であれば不思議と体を動かすモチベーションが湧いて、前向きに取り組めている印象があります。
リハビリスタッフだけでなく他職種にも「離床」に意識を向けてもらうことで、より患者さんの入院生活を充実させることが出来ると思っています。
最近はスタッフの勉強会を実施し、さらに今後は各病棟に離床コーディネーターを配置する予定です。
▲勉強会の様子
これからも、患者さんが楽しく充実した入院生活になるようサポートしていきたいと思います。
※寝たきりに近い状態など活動性の低下や過度の安静により、身体に生じた様々な状態。全身の筋肉がやせ細る、骨がもろくなる、少しの運動で息切れするといった症状がみられる。
今回の執筆者:作業療法士 松倉 莉乃(まつくら りの)
横浜市戸塚区出身。作業療法士4年目になります。患者さまに丁寧に寄り添い、その人らしさを大切にして関わることを常に意識しています。最近の趣味はピラティスで、自分の体とも真剣に向き合っています。